「川というものは、海に流れ込む直前の一箇所で、奇妙に躊躇して逆流するかのように流れが鈍くなるものである」
(太宰治『津軽』)
「穿めもしない手袋を握ってあるいてるのは何の為めだい」
(夏目漱石『野分』)
「人間にこの花の美しさがほんとに分るのかしら」
(川端康成『野菊』)
「そこにいるということが確実になったときから腐敗は進行する」
(三島由紀夫『朝の純愛』)
「無はあらゆる存在より廣々と大きい自由な實在」
(川端康成『孤児の感情』)
「はっきり見えすぎるから幻覚だ、ということもありうる」
(三島由紀夫『獣の戯れ』)
「正直は我身の守り」
(樋口一葉『大つごもり』)
「世界は一つの強いリズム」
(川端康成『青い海黒い海』)
「自己の王國に主たれ」
(高村光太郎『聲』)
「本当に嬉しかった、本当に難有かった、本当に尊かったと、生涯に何度思えるか」
(夏目漱石『思い出す事など』)
「一生は長う御座ります」
(樋口一葉『われから』)
「結果は死ぬまではわからない」
(武者小路実篤『棘まで美し』)
「刻刻の生を一ぱいに歩むのだ」
(高村光太郎『人に』)
「舟は刻さえくれば向う岸へ着こう」
(司馬遼太郎『烏江の月』)
「なあに年が年中思っていりゃ、どうにかなるもんだ」
(夏目漱石『二百十日』)
小山和哉